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Home Alone Live vol​.​28

by 小田晃生 / Kohsey Oda

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1.
湖上 03:33
ポッカリ月が出ましたら、舟を浮べて出掛けませう。 波はヒタヒタ打つでせう、風も少しはあるでせう。 沖に出たらば暗いでせう、櫂から滴垂る水の音は ちかしいものに聞こえませう。――あなたの言葉の杜切れ間を。 月は聴き耳立てるでせう、すこしは降りても来るでせう、 われら接唇(くちづけ)する時に月は頭上にあるでせう。 あなたはなほも、語るでせう、よしないことや拗言や、 洩らさず私は聴くでせう、――けれど漕ぐ手はやめないで。 ポッカリ月が出ましたら、舟を浮べて出掛けませう。 波はヒタヒタ打つでせう、風も少しはあるでせう。
2.
寒い朝 窓を開いてみれば 風が運ぶよ灰色の冬のにおいを しんしん静かな雪のダンス どうやらそれは一晩中続いたみたい ららら 僕はしっかりぶ厚い服着て 手袋 マフラー 耳当て 長靴も履く 空から降りてくる雪の粒を 捕まえようと口を開けて 学校へと歩く    ららら 楽しかったこと 苦しかったこと 小さな出来事が僕を作っている  汗をかきながら滑りながら走り回ったり 雪かきの山 思い切り突っ込んでみたり どろどろになって凍えて家へ帰れば こたつの中でいつの間にか眠ってしまう ららら ある朝 窓を開いてみれば 風が運ぶよ懐かしい冬のにおいを 雪はもうあんまり降らないけど 少しだけ僕に時間旅行させてくれる
3.
曇った窓には曇った僕が いつものように映っている 何をするんでもなく夜を更かし 飛んでく枯葉の音を聞く あなたはあなたで涙を流し 朝にはきっと笑っている  嘘かホントかは知らないけれど 何だか悲しい事を言う 僕らは別々だけれど どこかがちょっぴり似ているのね そんな部分を語り合えたらなぁ くだらない冗談だったり 安くておいしいものだったり 毎日の喜び 語り合えたらなぁ 大きく手を振りあいさつするよ あなたも友達と楽しそう 何事も無かったよな顔して 僕らは今日を続けてゆく
4.
つくる 04:32
ゼロをイチにする そのイチを磨き上げる たったそれだけの事 たったそれだけの事 たったそれだけの事が 世界を押し広げる たったそれだけの事が この部屋に縛り付けている 一点を見詰めて 月火水木金土日 真っ白なパズルの前で 月火水木金土日 此処では無い どこか 今では無い いつか 出会うことすら出来ない 誰かに手紙を書く たったそれだけの事が 胸を一杯に満たす たったそれだけの事が 僕を壊し 僕を直す 一点を見詰めて 月火水木金土日 真っ白なパズルの前で 月火水木金土日 たったそれだけの事で 月火水木金土日 たったそれだけの事が 月火水木金土日 波に運ばれて 打ち上げられた言葉 そんなふうに 君の宝物になれたなら
5.
名無し 03:45
夜間工事のランプ達 出会ってはズレてく点滅に 沢山沸かし過ぎて 行き場失ったお湯に その名無しの何かに 空想のカメラを構える その名無しは 僕に焼き付く あぁ 欠伸と背伸びの向こう側 聞こえてくる重たげな音に 目覚まし時計よりも 早く起きてしまった朝に その名無しを誰かに 伝えられまいかと考える その名無しは 忽ち消える あぁ その名無しの何かに 透明な絵筆を構える その名無しは 描きかけのまま あぁ
6.
死んでしまったひとは 幽霊になるという ある日 君のおじいさんは死んだ たくさんの謎を抱えて 何を目指していたの どんなこと考えていたの 知っているようで知らないまま いなくなってしまった そして僕は思った ずっとずれたまま どこか離れたまま そっくりそのままは 受け取れない 渡せない 追いつけない 追い越せない おとなとこども 追いつけない 追い越せない おとなとこども これは 君がまだとても小さかったときのこと それから僕は だんだんと父親になった いつかは僕も死んでしまうんだ 今は少しだけ怖いけど仕方がない どうしようもない 追いつけない 追い越せない おとなとこども 追いつけない 追い越せない おとなとこども 同じものは見れず 同じように感じられない でもそれでいい 人はひとりひとりが宇宙だから 追いつけない 追い越せない おとなとこども 追いつけない 追い越せない おとなとこども 死んでしまったひとは 分解されて土へ 死んでしまったひとは 天国へ 地獄へ だけど もしも噂通り 幽霊になれたら 同じく年をとった幽霊の君と 友達になれるかな もしも幽霊になれたら 一緒に酒も飲めるかな どこかで待ってるよ いつか僕が もしも幽霊になれたら
7.
魔法使い 03:30
お気に入りの棒きれ 振り回す その軌道の先には きっと鮮やかな魔法が 宿っているんだね 君は偉大な魔法使い 何故か 僕は悪者扱い 布団の海を泳いで 枕の小島でバトル 僕にはもう見えない 君と同じ光が 世界が見えていない 残念ながら どうしようもなく大人さ だけど思うよ UFO 幽霊 オーパーツ 在った方が素敵と思える事は取り敢えず片っ端から信じてみるのもいいかなって 出鱈目 無計画 おかしな生き方してきた自分でさえ そんなもんは無い 出来っこない 甘くない 無理だ 無駄だ 諦めなさいと 恐ろしくつまらない まるで呪いのような言葉達を君に かける必要を感じる日が やって来てしまうのだろうか なるべく沢山の事 「やってみよう」って 言ってあげられるように そして そんなふうに言える人に やがて君がなってくれますように 僕にはもう見えない 君と同じ光が 世界が見えていない 残念ながら どうしようもなく大人さ だけど思うよ 妖怪 UMA タイムトラヴェラー 居た方が愉快と思える物は取り敢えず片っ端から信じてみるのもいいかなって 出鱈目 無計画 おかしな生き方してきた自分でさえ そんなもんは無い 出来っこない 甘くない 無理だ 無駄だ 諦めなさいと 恐ろしくつまらない まるで呪いのような言葉達を君に かける必要を感じる日が やって来てしまうのだろうか なるべく沢山の事 「やってみよう」って 言ってあげられるように そして そんなふうに言える人に やがて君がなってくれますように お気に入りの棒きれ 一振りで忽ち氷漬け 瞬きも我慢してるから 放ったらかしでどこか行かないで 君は偉大な魔法使い
8.
夜道 07:08
時々感じる孤独 疲れて飲み干す猛毒 心の底から愛を君に捧げるよ アイウォンチュー 言葉はいつでも素敵 若い頃はみんな無敵 骨抜きになるよ細胞 傷だらけなのさアイウォンチュー さあ行こう 明日へと向おう カラリと笑って されども感じる孤独 本物ではない孤独 お腹の底から歌おう デュビラパラリララパラブーイエー さあ行こう 明日へと向おう カラリと笑って 君はいつだって素敵 髪の匂いさえ素敵 すれ違うヘッドライト 照らしだしてくれアイウォンチュー
9.
いい曲だねって言われたくて たくさんのもしもを 知らんぷりしてきた いい曲だねって言われたくて か細い夜道を ひたすら歩いた 僕の歌はいつも ほうこく れんらく そうだん ノイズ混じりでも 君に届いているかなあ トトト ツーツーツー トトト トトト ツーツーツー トトト 夢と現を抱えて ひげもじゃになって  BGM止まりか 悔しいな 悔しいな ほっこりだけか 悔しいな 悔しいな 音楽にいつも 助けられてきた 今やもうこれがなけりゃ僕は 鎧剥がされた素っ裸のアーサー だから いい曲だねって言われたくて たくさんのもしもを 見て見ぬ振りしてきた いい曲だねって言われたくて それだけが外へと 連れ出してくれた 僕の歌はいつも ほうこく れんらく そうだん 弱々しいけど 君に届いているかなあ トトト ツーツーツー トトト トトト ツーツーツー トトト あの山の向こうへ アンテナを広げて BGM止まりか 悔しいな 悔しいな またほっこりだけか 悔しいな 返せるものは たったこれっぽっちか これからも他愛なくてちっぽけな自分と 生きていくしかないのだろうか イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ まだまだ磨けば光るはずなんだ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ 身の程に合わないことがもっとしたい もっと自分が選んだ服が着たい もっと自分が選んだ未来が見たい 知りたい あの日サヨナラしたたくさんのもしも達に 笑顔で手を振りたい 胸を張りたいんだ いい曲だねって誰かが 言ってくれたときから こんな面白いことは他に無い と思った どんな手を使ってもしがみついていたい その願いは跡切れ跡切れながらも 今ここに続いてる 僕の歌はいつも ほうこく れんらく そうだん だからもっと君の声も 届けておくれよ いい曲ってなんだ? って 突っ込んでおくれよ 全然好きじゃないよ って ケンカしにおいでよ 僕の歌はいつも トトト ツーツーツー トトト 僕の歌はいつも トトト ツーツーツー トトト
10.
人は皆 人生を編んでいる 知らず識らずのうちに 物語は生まれる この世には 本になる人がいる バカだなと思うけれど 少しだけ憧れる 目の前の暮らしに手を動かし 答えなど無いのだと 頭では解っている だけど ふと 手を休めたときには 余計な考え事ばかり浮かべてしまう あぁ こんな話し 笑って聞いてくれればそれでいい なんて情けない これ以上無いってくらい格好悪いアイデア 何故だろう まだ上手くは説明出来ないけど 偉大だとか多大だとか重大 そんなドラマを求めてるようでいて 折角生きたこの世界と もっと関わり合いたかった もっと遊びたかった そんな気持ちのままで いつかフッと消えてしまうのが 無性に虚しい 無性に悔しい お墓なんて要らない 位牌も戒名も骨も要らない 物語る価値のある人生 物語る価値のある人生が 欲しくて 僕は今 歌を吐き出している 知らず識らずのうちに 物語は生まれる そんな聞こえの良い台詞に しがみつく様に

about

2022年12月30日(金)に、自宅作業部屋から配信した弾き語りライヴの音源。寒い晦日の夜でした。2022年を振り返りながら歌いました。

~~~~~~~~~~~~~~~~

It is a live performance that was streamed from my work room on Dec 30th, 2022. I sang as I looked back over the past year.

credits

released January 14, 2023

license

all rights reserved

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about

小田晃生 / Kohsey Oda Yamanashi Prefecture, Japan

小田晃生
おだこうせいKohsey Oda

1983年生まれ - 岩手県住田町出身
音楽家・シンガーソングライター

Born in 1983 - Japan
Musician, singer-songwriter

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